ペット、たとえば犬を例に挙げると、誰もが愛犬にはいつまでも健やかにいて欲しいと願いますよね。しかし、愛犬が健康で過ごせるかどうかは、飼い主にかかっていると言っても過言ではありません。
犬は、体調がおかしいときでも言葉で訴えることはできません。その代わりに、日常とは違った行動で、飼い主に様々なサインを送ります。いつもと違うと感じたら、それは病気のサインかもしれません。いつも愛犬のそばにいる飼い主が、そのサインをいち早くキャッチすることが、愛犬の健康を守ります。
日頃の様子を知っておく
異常を早く見つけるためには、普段から愛犬の様子に気を配り、「元気なときの状態」を把握しておくことがとても大切になります。具体的には、散歩のとき、食事のとき、排泄のときなど、愛犬の生活全般について、細かくしっておくことです。
例えば、“うんちがゆるい”場合、まず“下痢かな?”と考える人が多いでしょう。しかし、
“フードの種類を変えた”
“いつもより野菜を沢山与えた”
など、健康上特に問題にならない理由でうんちがゆるくなることもあります。
また、普段からうんちがゆるめのワンちゃんなら、“うんちがゆるい”ことは異常なことではありません。このため、一般に言われている“異常のサイン”が、必ずしも病気の症状であるとはかぎらないのです。
普段の情報が診察の助けになる
“いつもと違う”ときは、できるだけ早く獣医師に相談してください。その際に、普段の様子を細かく獣医師に伝えます。飼い主としてはささいな事だと思えることでも、診察のうえでは大切な情報であることが少なくないからです。愛犬のホームドクターは、飼い主自身!と、心得て愛犬にせっしてあげてください。
東京大学大学院農学生命科学研究科
応用動物科学専攻 獣医動物行動学研究室
教授 武内 ゆかり
(著書:しぐさでわかる愛犬の医学 他)