猫の健康維持と運動、ウエイトコントロール

猫といえば“気まぐれ”なイメージですが、その気まぐれ度合は年齢が増すほど高くなる傾向があります。特に、7歳を過ぎたシニア猫に至っては、殆ど遊びに興味を示さなくなってしまったりもします。もちろん個体差はありますが、これは、猫の老化と、経験値から来るエネルギー消費量の抑制行為だと考えられています。

“興味を持った時に好きなだけ遊ぶ”そして“気が乗らない時は放っておいてもらう”この2つの柱を守る事は、猫にストレスを溜めこませないのに重要な事だと考えられているため、じっとしている時に放っておくこと自体は悪い事ではありません。しかし、人間でもそうですが、猫も、歳をとると代謝も衰えますし、じっとしている時間が長くなれば筋力も衰えてしまいます。

猫の中年太り

特に飼い猫は、自分で餌を探さなくても決まった時間に餌が与えられるため、動かなくなった分だけ消費カロリーよりも摂取カロリーが高くなり、太りやすくなったりもします。このため、筋力は低下しているのに体重は増え、ますます運動をしなくなるといった悪循環(負のスパイラル)に陥ってしまう事も多くなりがちです。

体重増加と病気のリスク

運動不足による体重増加がなぜ悪いのかと言いますと、体重や脂肪の増加が、様々な病気の要因になりやすいからです。例えば脂肪の増加は、インスリン作用の低下に伴う糖尿病の発症リスクを高めると言われています。
また、体重増加は関節にかかる負担が増加し、関節炎や変形性関節症の要因になったりします。
さらに、動かない事による水分摂取量の低下により泌尿器系の病気(膀胱炎や尿石症など)のリスクも高まると言われていますし、乳腺腫瘍などとの関係も懸念されています。
また、糖尿病にかかった場合には、免疫力が低下し、様々な合併症を引き起こす危険もあるのです。
・糖尿病
・関節炎、変形性関節症
・膀胱炎、尿石症
・乳腺腫瘍
・糖尿病に伴う合併症
少し挙げただけでもコレだけのリスクが高まると言われると、なんだか怖くなりますよね。

飼い主は猫のトレーナー

こうしたリスクを少しでも下げ、愛猫に健康で長生きしてもらうためにも飼い主は、シニア猫であっても運動の手助けやウエイトコントロールをしてあげる必要があります。運動に関して良く言われている方法は、餌の置き場を工夫したり餌のあげ方を工夫するというものです。
上にも述べましたが、猫は経験を積むに従って、不必要なエネルギーを使わない生活を送るようになりがちです。このため、動かなくても餌が出てくれば、動く必要は無いと判断してしまうのです。

ところが、いつまで経っても餌が出てこないとなれば、自分から餌を探して歩くようになります。これは、あまり好みじゃない餌でも、放っておくと仕方なく食べるというのと同じようなものですね。
このため、餌をキャットタワーの上に置いたり、家の中に隠して置くような工夫をすれば、そこまで自力で移動するようになります。また、なかなか餌が出てこないと判れば、飼い主に着いて歩くようになるかもしれません。人間のウォーキングと同じようにこうした運動だけでも、日々続けるだけで筋力低下を抑制する効果に繋がります。

餌の量や質にも気配りを

また、ウエイトコントロールに関しては、餌の量やカロリーを工夫すると良いでしょう。若いうちと、ある程度歳をとった場合とでは、餌の量や質を変えてあげる方が安心です。同じ餌を与えつつ摂取カロリーを減らす場合には、単純に量を減らすこととなります。
しかし、量を減らすと猫が満足せず、餌をせがむようになるという場合もあるかもしれません。そうした場合には、餌の質を変え、同量でもカロリーの低いものや、ウエットタイプの餌など、量に対するカロリーの低い餌を選んであげるようにすると良いでしょう。

甘やかすだけでなく、適切に管理してあげる事が、愛猫に健康で長生きしてもらう秘訣でもありますね。