バードドックのススメ
「バードドック」とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、鳥の健康診断の事です。健康診断自体は、犬や猫などのペットにも必要だと考えられますが、鳥に関しては特に軽視されがちです。また、鳥は、その性質上、病気が見落とされがちであることから、ペットとして迎え入れた際には、健康診断を受ける事が勧められています。
鳥は弱さを隠そうとする?
野生環境下にいる動物は全般的に、弱った状態を隠そうとします。弱肉強食の世界では、弱っている個体ほど捕食者の獲物にされやすくなるからです。鳥は、犬や猫などの一般的なペットに比べて、そうした野生環境下での性質が強く残り、体調の悪さを表に出さないようにする傾向にあります。これは、個体の性格としてのものでは無く、本能的なものであるため、実際に具合が悪そうだなと思うようになると、手遅れになっているという事も多いそうです。昔、私の飼っていたインコも、ある日突然具合が悪そうになり、動物病院に連れて行った時には手遅れで、その後1週間程度で亡くなってしまった事がありました。
バードドックは、そうした気付き辛い病気のリスクを低減させると共に、病気の早期発見、早期治療を行う事で、愛鳥が元気に長生きできるようにするための手段の1つです。
どんな検査をするの?
では実際にバードドックとはどんな検査を行うのでしょう?
基本的な検査としては、身体検査、糞便検査、及びそ嚢検査です。また、感染症の遺伝子検査として、PCR検査、必要に応じてレントゲン検査などを行う場合もあります。
[身体検査とは]
主に外見上の検査であり、口ばしから爪先まで、及び翼など、骨格異常や傷の有無、羽の色艶などに問題が無いかの検査です。聴診器などを使って呼吸器異常の検査を行ったりもします。
[糞便検査とは]
糞の状態から、下痢や血便の有無、消化不良の有無などを見る他、顕微鏡や染色液などを用いて病原体や寄生虫の有無などを検査します。
[そ嚢検査とは]
口と胃の間にある袋(ヒナ鳥の時に餌が貯まるのが見える部分)に、病原菌やカビ、白血球、寄生虫などがいないかを見る検査です。口から管を入れ、そ嚢液を採取して調べます。
[PCR検査とは]
Polymerase Chain Reaction法という血液検査で、遺伝子検査とも言われます。インコやオウム類の幼鳥に発生しやすいPBFD(Psittacine Beak and Feather Disease)などのリスクを検査します。なお、PBFDとは、口ばしや羽に異常をきたす病気です。
[レントゲン検査とは]
レントゲン撮影による検査で、臓器の疾患や腫瘍、誤飲などによる異物の有無などの検査を行います。
バードドックを受ける時期について
一般的には、最初の検診は、鳥を迎え入れた直後が良いとされています。複数の鳥の居る環境下に居た鳥は、感染症のリスクが高いためです。このため、少なくとも迎え入れ直後の検診では、血液検査もしてあげる方が良いでしょう。
また、その後の検診ですが、獣医さんの勧めでは、半年に1度と言われる事が多いですが、実際には、かかりつけの獣医さんと相談して決めるのが良いでしょう。3歳を過ぎた成鳥は、免疫力が高くなり、感染症のリスクが減ると言われていますので、年齢に応じて受信期間を長くとるようにしても良いかもしれませんね。
バードドックの費用は?
動物病院の診療費は自由診療であるため、病院によってまちまちではありますが、フルコースの診察で、概ね15,000円程度(鳥の種類によっても異なる)である事が多いようです。そ嚢検査や血液検査などは、鳥を診察できる病院でないと難しい場合もありますので、事前に鳥の検診が可能かどうかの確認、あるいは、バードドックを行っている動物病院に受信するようにしましょう。また、バードドックを予約する際、費用の確認をしておくと安心ですね。
せっかく迎え入れる家族が健康で長生きできるように、初期のリスクコントロールをしっかりしてあげるようにしたいですね。