成猫の健康は、基本が大切
その子の体質を知る
犬や鳥、ウサギやモルモットでもそうですが、体重や体格というのは、その種類によって大きく違います。例えばシンガプーラなどは成猫になっても雌の平均体重が2kg未満だったりしますが、メインクーンなどは、大きな子では10kgにもなります。また、毛足についても、長い被毛(体毛)が密生するヒマラヤンとスフィンクスなどでは全く異なります。また、猫種が生まれた地域や生活環境によっても、体質や気質が変わってきます。純潔種の標準的な特徴を知っておけば、その子の成長や状態を知る目安になります。なお、純血種に限らず、平均値が分かり辛いハウスホールド(雑種)でも、健康時の体質を把握しておくことは大切です。基本的な体質が細身なのか、ガッチリしているのか?何かのアレルギーはないか?などを理解しておくと、普段から適切なケアができ、異常があった場合にも早期に発見することができるでしょう。
何と言っても食餌のバランス
動物が元気に過ごすためには“食”が必要です。しかし、自分で食をコントロールできないペットに対して、飼い主が適当な食餌を与えていたのでは、かえってペットの体調を崩してしまう事になりかねません。例えば猫の場合、健康にすごすためには、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルがバランス良く含まれた食餌が必要です。
栄養が偏ると、くる病や、黄色脂肪症などの栄養障害に起因した病気になってしまう可能性もでてきます。こうした側面からも、年齢期にあった総合栄養食のキャットフードを主食とするのがお勧めです。魚や煮干し、チーズなど、猫が好んで食べたがる物については、副食(おやつ)程度としておき、飼い主が適度にコントロールしてあげるのことが重要です。欲しがる姿が可愛いからといってあげ過ぎると、その子の健康を損なう可能性があることを頭に入れておきましょう。
食べたら動く
一般に、放し飼いの猫や野良猫は、半径500mのなわばりを動きまわると言われています。全体的な活動量がどの程度になるのかまでは判りませんが、少なくとも室内で飼っている猫よりは動いていると考えて良いでしょう。このため、室内飼いの猫達は、よほど気をつけてあげないと、運動不足になりがちです。そして運動が足りないと、普通に食餌をとっていてもカロリーオーバーになってしまい、太りがちになってしまう事もあります。そして、運動不足は筋肉量の低下にもつながります。筋肉が発達せずに基礎代謝が落ちてしまうと、さらに肥満の傾向に拍車がかかります。こうした悪循環が続くと、内臓が弱って便通も悪くなってしまいます。
しつけは子供と同じ目線
猫は犬と違い、飼い主に服従しようという気持ちは持っていません。そうした気ままな性格が猫の魅力の1つではありますが、生活圏内が同じである限り、好き勝手を許してばかりでは、飼い主の生活がままならなくなってしまうこともあります。このため、たとえ猫であっても、最小限のしつけは行う方が良いでしょう。
具体的には、トイレや爪とぎ場所、そしてマナーです。トイレなどは、もよおしそうな合図を見つけて連れていくようにすれば、自然に覚えてくれるでしょう。また、爪とぎ場所も、猫がつめをとごうとする場所の近くに爪とぎ器をおいて、つめをとぎそうになったら、そこに猫の前足をかけてやると覚えます。
テーブルの上に乗ることや、ものを落とすなどのマナーの悪さは、しっかりとその場で叱るようにしましょう。子供と同じで、後から叱っても、何を叱られているのかわかりません。ましてや猫は、言葉の意味を把握できない場合も多いのですからなおさらです。いたずら好きな子は、叱られても何度も繰り返す場合があります。こうした場合は根比べになりますが、気長にしつけていきましょう。
清潔・綺麗で病気を防ぐ
また、普段から清潔にしておくことは、病気を防ぐ大きなポイントになります。猫は一日に何度も自分自身で念入りに毛づくろいをしますが、すべての汚れを落とすことはできません。お手入れで愛猫のからだを清潔に保ってあげるようにしましょう。
基本の手入れは、耳、目、歯、ブラッシングです。耳垢や目やにがたまっていると、そこに細菌が繁殖して炎症などの原因になります。汚れているようなら、こまめにふきとってあげましょう。また、1歳を過ぎると歯周病にかかりやすくなります。口の中をチェックして歯垢が溜まっているようであれば、歯磨きをしてあげましょう。ブラッシングは、抜け毛と汚れを取り除き、皮膚をマッサージして血行を良くする効果があります。体に触れることで、異常の早期発見やスキンシップの効果も期待できます。