ペットもかかる?心の病(犬編)
物を壊す、変った行動をとる・・・など、愛犬が不振な行動をとる事があります。そうした行動は、単にその子の性格が原因である場合もありますが、心の病気が原因であることもあります。ペットも人間と同様に、“心の病気”にかかることがある事を理解することが、そうした困った行動の改善に繋がります。
常同症(じょうどうしょう)
症状:意味のない行動をくり返す
自分の尻尾を追いかけてグルグルまわったり、何もいないところに飛びかかってみたりするなど、意味のない行動を繰り返し、飼い主の静止に従いません。また、足先などを舐め続けて皮膚に炎症を起こしたり、足や尻尾を噛むなどの自傷行為を繰り返すこともあります。
原因:飼育環境の変化によるストレス
はっきりとした原因はわかっていませんが、飼育環境の変化によるストレスが原因の1つだと考えられています。長時間の留守番時などに偶然やった行為にハマってしまい、くせになってしまうといった事もあるようです。
治療:抗うつ薬を用いる
抗うつ薬(セロトニン調節薬など)を投与することで、症状を抑えることができます。しかしながら、原因が心であることから、根本的な治療にはなりません。
予防:ストレスを解消してやる
狭いところに長時間閉じ込めたり、長時間留守番させるといった行為は、愛犬にストレスを与える要因になります。運動を十分にさせたり、スキンシップを図るなど、愛犬のストレスを解消する、ストレスを溜めさせないといった工夫が必要です。
なお、ストレスの原因は犬それぞれです。
・飼い主の過干渉
・長時間の留守番
・工事現場の騒音
・ノミやダニの寄生
・やきもち
などを要因としてストレスを感じる場合もあるようです。
分離不安症(ぶんりふあんしょう)
症状:飼い主が留守中に部屋の中をあらすなどの問題行動を起こす
普段はおりこうにしているのに、一人で留守番させると、部屋の中を荒らす、家具を壊す、そそうする、などの問題行動を起こします。
また、視認により認められる行動の他、飼い主が留守の間だけ吠えている、体を震わせている、といった、その場に居ないと気付かないような問題行動を行う場合もあります。
原因:飼い主の不在に強い不安を感じる
屋内飼育の、いわゆる座敷犬が増えたことから、飼い主と一緒に過ごす時間が長くなる傾向にあります。こうした実状から、飼い主と犬との関係が密接になり過ぎ、飼い主が外出するだけで不安になり、“置いて行かれた”、“もう帰って来ないかも”といった強い不安を感じるようになるそうです。そして、こうしたストレスから、身体的に奇妙な反応が出たり、異常な行動を起こしたりするのです。
なお、当然に、犬の性格も影響しており、さびしがり屋や甘えん坊の犬がなりやすい傾向にあるようです。
治療:行動療法で不在に慣れさせる
治療の基本は、行動療法です。行動治療とは、特定の命令や行動の反復により、飼い主との信頼関係の構築や、不安材料の除去を図るというもので、飼い主の留守を不安に感じるような子の場合、犬に「飼い主は必ず帰ってくる」というような安心感を与えるという事が重要で、こうした気持ちを覚えさせることで、留守番に慣れさせるようにします。
また、行動療法と併用して、薬物療法を行うこともあります。分離不安症はすぐには治りませんが、行動療法などを根気よく続けていくことで、次第に改善します。
予防:自立心を芽生えさせる
予防のためには、自立新を育むことが大切です。子犬のころから常にベッタリでは無く、飼い主と犬がそれぞれに過ごす時間を持つようにすると良いでしょう。
飼い主の外出に慣らす、帰宅後にさりげなく過ごすなどといった事も、改善の方法の1つになるでしょう。
飼い主の外出に慣れさせるには、出かける時はさりげなく、長時間ではなく、数分間したら戻るなどを繰り返し、出かけるという行為に過敏にならないようにすると共に、飼い主が戻ってくる事を愛犬に覚えさせるようにするのが重要です。
帰宅後にさりげなく過ごすというのは、やはり過敏な反応を抑制するという意図です。例えば、すぐに相手にせず、飼い主側も過剰な反応をしないことを心がけるのが良いでしょう。そそうや物を壊していても、怒らないようにしましょう。分離不安症時には、その行動で気を引けると思うと逆に癖になり、飼い主が出かける度に同じ行動をとるようになる場合があります。