愛犬の鼻と口をチェックしよう!
「愛犬の目と耳をチェックしよう!」の続きとなります。愛犬の病気や状態を把握する顔周りの様子というのは普段から目につきやすい箇所ですよね。特に、鼻と口は、犬の特徴的なパーツでもあります。そうした目に付きやすい箇所の異常でも、場合によっては重大な病気や障害の兆しだったりすることもあります。いつも良く見る愛犬の顔、いつもと違うところにはいち早く気付いてあげてください。
口のチェック
よだれの異常
犬はよくよだれをだします。健康な状態でも、食事やおやつを待っている時や、暑い時、乗り物酔いをした時などには、通常よりも多くのよだれを出します。しかし、明らかにいつもと違うよだれの出し方をしている場合には、異常のサインである可能性があります。
例えば、よだれは垂らしているのに食欲は無く、吐き気、あるいは吐くような動作を繰り返すようであれば、扁桃炎などの疑いがあります。また、扁桃炎が悪化して喉にまで症状が進むと、咽頭炎になることもあります。さらに、食道梗塞や咽頭麻痺を起す場合も考えられます。
また、よだれを垂れ流すような症状の場合には、嚥下障害(えんげしょうがい)が生じている可能性があります。このような症状の場合狂犬病や、神経性ジステンパーなど、感染症の疑いがあります。
また、泡状のよだれを出し、痙攣を伴っていたり、呼吸が不安定であったりする場合、中毒が疑われます。
さらに、よだれに血が混じっている場合もあります。こうした場合には、口の中に傷があったり、口内炎(比較的重度のもの)になっている場合が考えられます。
歯や口臭の異常
歯の根元に歯垢がついて、そこに歯石がつくと、茶色や、茶色がかった黒色に変色します。そのままにしておくと、細菌により歯茎が炎症を起こし、歯肉炎になる可能性があります。また、歯肉炎が生じると、口臭も強くなったりします。さらに、歯槽膿漏になると、歯がグラグラし、場合によっては抜けてしまいます。人間と同じですね。
また、口臭が強くなる原因として、犬レプトスピラ症や犬ジステンパー、肝不全なども考えられます。 この他、歯や歯茎の状態を確認する場合には、舌の状態なども観察してあげてください。舌炎により、舌が赤く炎症を起こしていたり、白くただれている場合もあります。
口の中の様子を見る習慣をつけるには、歯磨きの習慣をつけるのが効果的です。昔は、犬や猫に歯磨き?という感じでしたが、現在ではペットを健康で長生きさせるための習慣として推奨されており、犬用の歯ブラシなども色々な種類が販売されています。
例えば超小型犬用としてはこんなものがあります。
鼻のチェック
犬の嗅覚は人間の数千倍といわれています。あまり視力が良く無いと言われている犬にとって、嗅覚を司る鼻は、生きて行く上で非常に重要な役割を担っています。何等かの異常が見られる場合には、一刻も早く治療や対処をしてあげてください。
くしゃみ、鼻水が出る
一過性のくしゃみや鼻水は心配ありません。
一方で、くしゃみや鼻水が続いたり、鼻水がたれるほどたくさん出る、粘性が強く黄色い鼻水や、鼻水に臭いがする、血が混じっているなどの症状がある場合には注意が必要です。
例えば、水のようにサラサラした鼻水がずっと出ているような場合は、アレルギー疾患や初期のウィルス感染の疑いがあります。
また、粘性が強く、黄色っぽい鼻水が出ている場合には、細菌感染の恐れがあります。なお、犬ジステンパーでも膿のような黄色い鼻水が出ます。その他、歯の病気が原因となり鼻炎を併発した場合に、黄色っぽい鼻水が出る場合もあります。
突然の激しいくしゃみの場合、鼻の中に虫などの異物が入った可能性があります。また、犬の近くでスプレーやパウダーのような鼻の粘膜を刺激するものを使用した場合にも激しいくしゃみをする場合があります。気をつけてあげてください。
鼻血がでる
鼻の周りには毛が無く、血管が多いところですから、ぶつけるなどの外傷を受けることにより鼻血を出すこともあります。このように原因が外傷であることが判っている時は、さほど心配することはないでしょう。しばらくすれば、血は止まるはずです。
一方、原因が判らない鼻血や、粘り気のある鼻血が出た場合には、注意が必要です。
鼻腔や副鼻腔に腫瘍が出来ている可能性や、重度の鼻炎の可能性、突起部のある何かを吸い込んだ可能性の他、アレルギー疾患などの可能性も生じます。
この他の病気として、肺水腫などの循環器系の病気も考えられます。鼻血に限らず、出血がいつまでも止まらないような場合には、血液の病気の疑いも生じます。
鼻の乾き
昔から、「犬の鼻が乾いていると風邪をひいている」などと言われていますが、これは、半分正解で半分間違いなんです。実は、犬の鼻は、健康な場合であってもいつも湿っているわけでは無く、寝ている時には乾いていて、起きて活動を始めると湿った状態になるのです。
なんだかスイッチみたいで面白いですよね。
起きて動きまわっている時も鼻が乾いている場合には、熱性疾患(いわゆる風邪)の可能性があります。また、栄養障害や、何等かの病気にかかっている場合にも鼻が乾くことがあります。このような事から、活動中の犬の鼻の湿り具合が体調のバロメータになるというのは、間違いではないですね。