ファシリティドッグって知ってる?

ファシリティドッグとは、セラピードッグの一種で、アニマルセラピー(動物介在療法)の高度に専門的なトレーニングを受けたアニマルコンパニオンとして、病院などの施設に常駐(常勤)するタイプの犬を言います。

一般的なセラピードッグは、必要に応じて依頼ごとに各所に出向き、患者等と接するものであるのに対し、ファシリティドッグは、加齢や病気、怪我などによって引退するまでの間、特定の勤務地で過ごすというものなのだそう。

治療計画にも介入できる?

また、ファシリティドッグは、専門的なトレーニングを受けると共に、ハンドラー(セラピーアニマルの指導者)も医療従事者であることより、“治療計画への介入”が許されているのだそうです。

治療計画への介入と言っても、直接的な治療を行うわけではなく、患者等に寄り添う事により、治療を受けやすい環境を作ったり、気持ちに変化をもたらすようにするといったもののようです。しかしながら、こうした治療への介入により、薬の量の軽減や、治療を受け入れる気持ち、治療への積極性などに大きな変化がもたらせるそうで、ファシリティドッグ発祥の地であるアメリカでは、1つの施設で年間40組(犬とハンドラー)以上のファシティドッグが誕生しているそうです。アメリカにそうしたトレーニング施設がどれ位あるのかはわかりませんが、“ファシリティドッグ”という言葉すら聞く機会の少ない日本に比べればかなり普及しているという事が言えるでしょう。

認知度不足と高額な導入費用

ファシリティドッグが日本に根付いていない要因としては、セラピードッグ自体の受け入れ態勢が不十分である事や、患者やその家族の意識(認識)などの他、その導入費用なども大きな要因であると言えるのではないでしょうか。

ファシリティドッグの草分け的団体であるNPO法人シャイン・オン・キッズによれば、

1頭のファシリティドッグを病院に導入するためには、初年度に約1200万円、ハンドラーの人件費、餌代、衛生管理費等のランニングコストとして、年間約900万円かかるのだそう。

この費用は、医療機関によっては一般的な勤務医と同等、あるいはそれ以上にも上る額である事より、おいそれと導入できないというのもうなずけます。このあたりの費用については、導入例の多いアメリカの体制を参考にする必要があるようにも思えますね。

協賛や寄付が必要な実状

このような状況であるため、現在、NPO法人シャイン・オン・キッズが派遣するファシリティドッグは、国内でわずか3施設となっているそうです(静岡県立こども病院、神奈川県立こども医療センター、東京都小児総合医療センター)。

こうした実状の中、東京都福生市の酒造メーカーである石川酒造は、日本酒のラベルにファシリティドッグを印刷したアイビーラベル(多満自慢:アイビーラベル)を2020年1月22日から販売し、1本(2750円(税込))につき700円をNPO法人シャイン・オン・キッズの活動費用(ファシリティドッグの運営費用)として寄付する事を発表したそうです。

私の調べたところでは現状、多満自慢のアイビーラベルは、メーカーのオンラインストアのみでの取り扱いとなっているようです。“寄付”というと、その費用の使われ方などが色々と問題視される事も多いですが、今回のケースでは、メーカーの知名度の向上と新しいタイプの医療の発展や認知度向上など、Win、Winの関係が成り立っているように感じられました。

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