特性面から考えるカメムシの駆除と対策

写真提供:JAグループ

兵庫県でカメムシが大量発生している事がニュースになっていますね。

特に、果樹園などではカメムシによる被害が大きくなく事が予測されています。そんな中、兵庫県病害虫防除所では、果樹園などに

「同所はナシやモモ、カキなどを生産する県全域の農家に、見回りの強化や早めの袋掛けを推奨。発生や被害を確認すれば、すぐに薬剤で防除するよう求めている。」

としています。

なぜ兵庫県でカメムシが大量発生したのか?

ところで、今回なぜ兵庫県に、過去に例を見ないほどカメムシが大量発生したのでしょう?

これは、現状を見たわけでは無いのではっきりとした事は言えませんが、山間の地形や、池が多いといった兵庫県の地形や、実は、国内有数の果物王国であるという地場産業、および昨年の暖冬の影響などが複雑に影響しあい、今回のような大きな被害となってしまったのではないでしょうか。

果樹カメムシ類(果汁を吸うカメムシ)は、主に果樹園の外で成虫になり、果樹園へは飛来して侵入し、被害を及ぼします。そのため、風の吹きあがる尾根沿いや風の通り道に位置する山間に位置する果樹園は特に、果樹カメムシが飛来し易い場所であると考えられるのです。

対策はあるのか?

兵庫県病害中防除所でかかげている

「見回りの強化や早めの袋掛けを推奨。発生や被害を確認すれば、すぐに薬剤で防除する」

という対策は、確かに基本ではあります。このため、やらないよりはやった方が良いと思われます。

しかし、果樹カメムシ類は、雄が果樹園に飛来して餌を認識して定着すると、集合フェロモンを放出します。この集合フェロモンは、その名の通り同種の仲間を集める役割を担うため、次々とカメムシが集まってきてしまうのです。

このため実際には、

“カメムシの発生や被害を確認してから薬剤で防除する”

のでは、遅く、被害が大きくなってしまう可能性が高いのです。

具体的対策例

カメムシは、飛来時には、直接果実へ到来するのでは無く、建物や樹木、防除ネットなどに付着し、そこからさらに進入、移動して果実へ被害をもたらすケースが多いです。このため、防除薬剤を散布する際には、周囲の建物や防除ネットに殺虫剤を塗布し、集まって来たカメムシが果樹園内部へ進入する事を防ぐという手段を採るのも良いでしょう。

また、薬剤の散布等による駆除対策を行う場合、1つの果樹園で実施するのでは無く、広い範囲、つまり、地域全体で時期を合わせて実施する方が、高い効果を得る事ができます。そのたりは、自治体が音頭を取るなどしながら進めるのが良いのではないでしょうか。

また、土地柄、近くに別の果樹園等が無く、個別に対策を採るしかない場合には、被害にあった果実をその場(地面など)に放置するのでは無く、果樹園の外に移動させた上で殺虫剤などを撒くのも良いかもしれません。

被害にあった果実等には、カメムシの集合フェロモンが付着している可能性が高いです。このため、それをそのまま放置した場合には、別のカメムシを集めてしまう可能性もあります。しかし、これを別の場所(果樹園の外)へ移動させる事で、果樹園外にカメムシを誘導させることができるようになります。そして、そこへ防虫剤を撒くことで、カメムシの駆除を行う事もできるようになるという算段です。