ドッグフードとキャットフードって分ける必要あるの?
突然ですが、上の写真のフードが、ドッグフードであるか、キャットフードであるかわかりますか?
答えは「ドッグフード」なのですが、実際、キャットフードと言われても判りませんよね?
ではなぜ、2つのフードを分別しているのでしょう?
ドッグフードとキャットフードの違いについて調べると、犬は肉食に近い雑食で、猫は完全な肉食なので、食性の違いから、その成分が異なるといった事が出てくる事が多いです。
確かにそうした事は間違っていないと思うのですが、実際のキャットフードというのは、完全な肉食用(いわゆるグレインフリー)だけでなく、穀類が含まれているものも多いと思われます。
また、多くの説明ページでは、猫は体内でタウリンやビタミンAなどを生成する事ができないから、そうした成分を含んでいる(ドッグフードには含まれていないと言っている)キャットフードを食べさせるのが良いと書いています。しかしこうした記載の多くは聞いた事の受け売りで、実際に調べてた事が無いのではないかと思うのです。
いや、もしかしたら、昔のキャットフードやドッグフードは、そうした傾向が強かったのかもしれません。しかし、現状は異なります。
つまり、現在では、キャットフードにもドッグフードにも上記の成分が含まれているものも多いように感じるのです。
キャットフードとドッグフードの一例
以下に示す原材料名と保証成分は、とある有名メイカーの同じブランド名のキャットフードとドッグフードにおけるパッケージ表記です。
キャットフード
原材料名
穀類(トウモロコシ、コーングルテンミール、小麦粉、パン粉)、肉類(牛肉粉、チキンミール)、油脂類(動物性油脂、植物性油脂)、魚介類(フィッシュパウダー、マリンコラーゲン)、オリゴ糖、GABA、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、銅、亜鉛、ヨウ素)、pH調整剤、酵母細胞壁(食物繊維源)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、D、E、K、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、ヒアルロン酸
保証成分
たんぱく質 35.0% 以上、脂質 10.1% 以上、粗繊維 4.5% 以下、灰分 9.0% 以下、水分 10.0% 以下、カルシウム 0.9% 以上、リン 0.7% 以上、マグネシウム 標準値 0.09%、リノール酸 1.0% 以上、ビタミン A 550IU/100g 以上、ビタミン E 40.0IU/100g 以上、ビタミン B1 0.6mg/100g 以上、ビタミン B2 0.5mg/100g 以上、ビタミン B6 0.5mg/100g 以上
ドッグフード
原材料名
穀類(トウモロコシ、コーングルテンミール、小麦ブラン、小麦粉、ライスブラン)、肉類(チキンミール、チキンレバーパウダー)、油脂類(動物性油脂、植物性油脂(オメガ‐6脂肪酸含む)、共役リノール酸)、魚介類(フィッシュエキスパウダー、マリンコラーゲン、小魚粉末(DHA、EPA/オメガ‐3脂肪酸源))、ビール酵母(β‐グルカン源)、糖類(オリゴ糖、エリスリトール)、カゼインホスホペプチド、果実類(クランベリーパウダー、ブルーベリーパウダー(アントシアニン源))、トマト(リコピン源)、L‐カルニチン、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、クロライド、鉄、銅、マンガン、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ヨウ素、コバルト)、ビタミン類(A、B2、B6、B12、D、E、パントテン酸、コリン)、バチルスサブチルス(活性菌)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)、アミノ酸類(アルギニン、タウリン、メチオニン)、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸
保証成分
たんぱく質 25.0% 以上、脂質 12.0% 以上、粗繊維 3.0% 以下、灰分 8.5% 以下、水分 10.0% 以下、カルシウム 1.0% 以上、リン 0.8% 以上、リノール酸 1.5% 以上、ビタミン A 550IU/100g 以上、ビタミン E 10.0IU/100g 以上、ビタミン B1 0.2mg/100g 以上、ビタミン B2 0.3mg/100g 以上、ビタミン B6 0.4mg/100g 以上、ビタミン B12 0.003mg/100g 以上
なぜフードを分けた方が良い?
このように、多くのホームページなどでドッグフードでは摂取できないと書いている成分の多くは、実際にはドッグフードにも含まれている事が多いのです。
※色がついている部分が同じ成分です。
ではなぜキャットフードとドッグフードを区別して与えた方が良いのでしょう?
それは、必要とする栄養素のバランスの違いによるところが多いようです。
必須三大栄養素である脂肪、タンパク質、炭水化物についてのバランスを挙げると、
成猫:脂肪20%、タンパク質35%、炭水化物45%(計100%)
成犬:脂肪15%、タンパク質25%、炭水化物60%(計100%)
とされています。
人間と一緒に行動して狩りをしていたという犬は、エネルギーへの変換速度が高い炭水化物を多く必要とし、物陰に潜んで狩りの瞬間に爆発的なエネルギーを消費する猫は、少量でもエネルギー効率の高い脂肪やタンパク質を多く必要とする体質になった・・・という感じでしょうか。
とにかく、必要とされる栄養バランスが異なるのですから、犬にキャットフード、猫にドッグフードを与え続けると、何等かの形で栄養の過不足が現れる可能性が大きいという事がわかりますね。
一方で、含まれる栄養分には、近似する項目が多いため、誤って食べてしまったり、おやつ的に与えた場合には、特に問題は無いといえるでしょう。