スキンシップで見つけるうさぎの病気

うさぎがかかりやすい10の病気

うさぎを飼育している方なら良く知っているかもしれませんが、うさぎがかかりやすい病気として有名なものには、以下のようなものがあります。
1.うっ滞
2.斜頚(しゃけい)
3.眼振(がんしん)
4.スナッフル
5.ソアホック
6.尿路結石(にょうろけっせき)
7.熱中症(ねっちゅうしょう)
8.下痢(げり)
9.不正咬合(ふせいこうごう)
10.開帳肢(かいちょうし)

ずらりと名前を並べると、“えぇ?!こんなにあるの?”と感じる方もいらっしゃいますよね。いずれの病気も決して軽視してはいけないものばかりですが、いずれの病気も、毎日のスキンシップや観察により、早期発見や予防を図る事が可能な場合が多いのも確かです。神経質に気にし過ぎるのは、飼い主さんの精神衛生上良くありませんが、毎日の自然なスキンシップや観察で、“健康な時の様子”を知っておき、“いつもと違う”事を気付いてあげられるようにしてあげられると良いですね。

うさぎに特に多い病気「うっ滞」

「うっ滞」は、「毛球症」や「胃腸うっ滞」と呼ばれる事もありますが、最近では、「ウサギ消化器症候群(RGIS)」と呼ばれる事も多いようです。病名に「うさぎ」と入るほど、うさぎがかかりやすい病気といえますね。簡単に説明すると、寒暖差やストレス、その他何らかの理由により、胃腸の働きが悪くなり、排泄がし難くなることで、胃液やガスなどが溜まってしまう病気です。

症状
RGISの特有な症状としては、以下のようなものがあります。
食欲不振
初期症状としては、食べる量が減るといった感じですが、お腹が張ってきたり、痛みが出たりしている場合には、全く食べなくなってしまう場合もあります。
・ウンチが出ない、異常がある
食欲不振に通じるものがありますが、排出がうまく出来なくなるという事は、お腹に滞留しているか、食べ物自体が体に入って来ていないかという事になります。ウンチはするけどいつもより小さい、形がいびつ、ドロっとしている・・・などという場合には、注意が必要です。健康な状態のうさぎのウンチは、約8mmから1cm程度で球状をしていますが、RGISにかかると、小粒になったり、形が揃わなかったりしてくる傾向にあります。
お腹を触られるのを嫌がる
食べ物や毛玉、異物などが胃腸にとどまり、おなかが張っていたり、痛みが生じている場合には、触られるのを嫌がります。いつもは普通に抱き上げていたのに、極端に嫌がるようになった場合には、気をつけてあげてください。
うずくまって動かない
お腹の張りや痛みなど、体調の変化により強いストレスを感じている状態だと考えられます。場合によって歯ぎしりなどをしたりします。

 これらの症状は、あくまで一例ですが、少なくとも異常が生じている状態であるとは考えられます。似たような症状の別の病気の可能性もありますが、うさぎは具合の悪さを隠そうとする傾向が強いです。このため、様子を見ているうちに急激に悪化してしまうという事もありますので、早めに病院に連れていってあげるようにしましょう。 

原因
RGISの原因としては、「繊維質不足」や「免疫力の低下」により、胃腸の働きが悪くなったり、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう:いわゆる腸内フローラ)のバランスが乱れる事だと言われています。
繊維質不足に関しては、牧草やペレットを食べずに、おやつなど、食べやすい物が主食になってしまっている場合があります。また、免疫力の低下は、ストレスや不衛生な環境、栄養バランスの偏りなどに起因します。

その他の原因として、異物の摂取などもあり得ます。うさぎは比較的なんでもかじります。このため、ケージから出して遊んでいる最中に何等かの異物を飲み込んでしまうといった事もあります。

さらに、加齢によりRGISにかかりやすくなる場合もあります。どのような動物もそうですが、高齢になると食べる量が減り免疫力も低下します。単に加齢により食欲が低下しているのか、異常な症状なのか判断しづらい部分がありますので、症状の早期発見には、日々の状態チェックが重要です。

治療
症状によって治療法は異なりますが、軽度なものであれば、詰まっているものを流すため、水分補給を行い、消化器の動きを促す薬や、痛みを和らげる鎮痛剤を投与し、排泄を促すようにします。重度の場合には、全身麻酔で切開手術を行い、内容物を取り除くといった処置も行われます。

予防方法
牧草を与える
牧草を食べる事により繊維質を摂取することができ、腸の蠕動運動が促されます。
水分補給
水分不足になると、毛づくろいなどで飲み込んだ毛が、胃の中で絡まって塊となり、排出されにくくなってしまいます。しっかりと水分補給をすることで、これを予防します。
適度な運動
ケージの中でじっとしていると、胃腸の働きが悪くなると共に、ストレスも溜まります。一日1回程度でも、ケージから出して遊ばせてあげる事が重要です。
適度な刺激
刺激といっても、大きな音を立てたり、追いかけ回したりすることは、逆にストレスになってしまいます。声をかけたり、遊んであげたり、一人でボーっとする時間との切り替えをしてあげる程度の刺激が効果的でしょう。
お腹の状態チェック
スキンシップにより、お腹が張ってないか?ゴツゴツした異物感は無いか?という事をチェックしてあげましょう。軽くマッサージしてあげることも、腸の蠕動運動を促す事になる場合があります。獣医さんに指導を受けた上で、実践してみるのも良いでしょう。

特に多い病気として、うっ滞について詳しく述べましたが、他の病気についても、それぞれ簡単に述べたいと思いますので、詳しく知りたい方は、ご連絡いただくか、別途検索してみてください。

斜頚(しゃけい)

症状
首(顔)が斜めに傾いてしまう症状です。歩かせてみると、同じ場所を何度もぐるぐる回る様になる傾向にあります。
原因
何等かの菌が耳や脳の一部に入り込むことで発生すると言われていますが、正確な理由は判っていないようです。
治療
抗生物質の投与など。

スナッフル

症状
鼻水を垂らしたり、くしゃみを頻繁にするなど。
原因
温度環境や生活環境の変化に起因したストレスや、細菌感染による場合があるようです。
治療
生活環境を整えてやる。抗生物質などの投与。

眼振

症状
目が左右あるいは上下に小刻みに動く。
原因
内耳の感染症や脳の異常など、詳細な原因は多岐にわたるようです。
治療
抗生物質の投与など。

ソアホック

症状
足の裏の毛が抜けて、皮膚に炎症を起こす状態。うさぎの足は、通常毛で覆われていますが、足裏が禿げてピンク色の地肌が見えたり、皮膚がむけて血が出たりすることとなります。
原因
床材の不適合や体重過多が大きな原因とされており、その他に、病気による場合もあるようです。
治療
床材や体重などの飼育環境や状態に起因したものであれば、その改善に努める事が治療となります。病気の場合には、獣医さんの判断に従いましょう。

尿路結石

症状
おしっこが出なくなる。血尿が出るなど。
原因
腎臓や膀胱、尿道などに結石が出来ることによる。「尿路結石」と称していますが、結石が出来る場所により、腎結石(腎臓)、尿管結石(尿管)、膀胱結石(膀胱)、尿道結石(尿道)などと呼び方が変わり、症状も変わります。
治療
野菜中心の低カルシウム食による内科的治療の他、症状が重い場合には外科的治療により結石の除去を行う。

熱中症

症状
暑さでぐったりしていたり、立てなくなったりする場合があります。呼吸が激しくなったり、痙攣などのショック症状を起こす場合もあります。
原因
環境温度の上昇による体温上昇が原因です。
治療
水分補給の他、病院での早期治療が必要です。

下痢

症状
軟便など、下痢の症状です。
原因
様々な原因が考えられ、詳しい検査等を経ない限り原因を特定することが困難です。
治療
病院で検査を受け、適切な治療方針を検討してもらいましょう。 なお、下痢に伴い、脱水症状などを起こさないように気をつけてあげましょう。

不正咬合

症状
よだれを垂らす。毛づくろいがうまくできず、体の一部が湿っていたりする場合もあります。前歯の場合には、前歯が飛び出しているといった症状を見る事ができます。
原因
歯のかみ合わせが悪く、歯が摩耗されず、必要以上に伸びてしまう症状。前歯だけでなく、奥歯も同様な症状になる場合がある。
治療
1歳程度までのうさぎであれば、矯正をすることもできるようです。その他の治療としては、歯をカットする治療を施します。

開帳肢

症状
足が外側に開いてしまったりして、正常に立ったり歩いたりすることができない状態です。
原因
遺伝性の神経障害、股関節脱臼、骨の発育不全の他、感染症などを原因とする場合もあるようです。
治療
テーピングによる足の補強や、リハビリにより、悪化を防いだり、症状を改善させる事が行われます。

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