絶対に失敗しない温浴時の温度管理方法

インターネットなどでも多くの情報得る事ができる昨今、爬虫類飼育においては、個体の健康を維持する方法の1つとして、温浴はポピュラーな手段になっているかと思います。飼育書やペットショップなどでも勧めている場合が多いので、現在の飼育手段としては、正攻法と言って良いと思われます。

中には、自然界ではありえないシチュエーションだという事で温浴を否定する意見もあるようですが、自然界では、熱せられた砂による砂浴びや水浴びなどが自由にできるので、一概に否定しなくても良いのではないかと考えます。なお、「爬虫類の腸内環境を整えよう!」でも触れたように、長時間の温浴は、個体の疲労にもつながると考えられるため、避けた方が良いと思われます。

温浴とは

爬虫類、特にフトアゴヒゲトカゲなどを飼育している方には、説明は不要だと思いますが、温浴は、個体をお湯につけて温めてあげる事です。温浴中に、毛先の柔らかい歯ブラシなどで体を擦ってあげると、身体に付着した汚れや、古い皮膚などが落ち、皮膚が清潔になると共に、脱皮不良を抑制することができると言われています。

温浴は、トレイや洗面器などにお湯を張り、そこに個体を入れてあげれば良いです。お湯の深さは、溺れる事や不安定になり暴れ出す事を防止する観点から、個体の足が付く程度としておくのが良いでしょう。トレイや洗面器は、100円均一などで販売されているもので十分です。

温浴の効果

そんな温浴の効果は、上でも少し触れたような、皮膚の汚れ除去や脱皮の促進の他、体を温める事により代謝を上げ、腸内環境を整えたり、食欲促進を図るといったものがあります。爬虫類は変温動物ですから、体を温めるという行為は、健康維持に非常に有効な手段の1つですね。

また、温浴時に、多少なりとも水分を摂取することとなり、これが便秘解消につながるとの見解もあります。なお、温浴後に水分をそのままにしておくと、気化熱で体温が低下してしまうため、水分は素早く拭き取ってあげるようにしましょう。

最適な温度

様々な効果が期待される温浴ですが、最適な温度については、様々な意見があり、これが正解!というのは無いようです。一般的な見解では、30度から38度程度が良いとされていますが、書籍やインターネットの情報では、35度から37度程度で温浴を行うという方が多いようです。

温浴の時間も諸説ありますが、概ね10分前後が良いとされており、その理由としては、お湯の温度が下がってしまうためとの理由が多いようです。爬虫類の温浴は、トレイなどを使って少量の水(お湯)で行うため、お湯の温度変化は、周辺温度への依存率が高くなりがちです。特に、冬場などは、適温にしたはずなのに、準備をしていたら温度が低くなってしまったなんて事もあるのではないでしょうか。

そうした中、水温を一定温度に保つ方法として思い浮かぶのが、熱帯魚用のヒーターだと思います。温度調整機能付きのものであれば、このみの温度に調整でき、その温度を保ってくれるから安心ですよね。私もこのような事を考えて熱帯魚用のヒーターを探してみたのですが、熱帯魚用のヒータは、どれも30度前後が最高温度で、高いものでも34度というものしかなく、温浴に用いるには少々、設定温度が低すぎるという問題がありました。

また、さらに高い温度まで設定できる水中ヒーターとなると、どれも数万円単位のものとなってしまい、“温浴用”としての導入にはためらう価格でした。

効果的な方法

そんな中、今回私が提案するのは、爬虫類飼育でもおなじみのパネルヒーターを使った湯温調整です。パネルヒーターは、表面温度を20度前後から60度前後まで調整する事ができるものも多く、値段も良識的な範囲です。さらに、温浴使用時以外は、飼育ケースの保温用としても利用することができるので、経済的です。

通常パネルヒーターは、表面温度は高くても熱量は少ないので、水槽用のヒーターとしては不向きなのですが、トレイや洗面器などに溜めた少量の水(概ね1~2リットル程度)であれば、十分に温める事ができるのです。

設定は簡単で、パネルヒーターの上に、水を張ったトレイを置き、パネルヒーターの電源を入れて温度を調整するという感じです。少量の水であれば、パネルヒーターの設定温度と水(お湯)の温度とに大差は生じないと思いますが、水(お湯)の温度を測る温度計を別途用意した方が安心ですね。また、パネルヒーターに水がかかるのが心配な場合には、パネルヒーターをジップロックのようなビニール袋に入れて使用するのが良いでしょう。

水が温まるまで少し時間がかかるかもしれませんが、このような方法であれば、冬場でも湯温の低下を心配せずに温浴をさせる事ができますよね。湯温調整が面倒な方は、是非試してみてください。お勧めのパネルヒーターとしては、「ビバリアマルチパネルヒーター」や、「水作 アクアパネルヒーター」などがあります。水作のものは、もともと水槽用ですから、水に濡れても安心ですね。