腸内フローラを正しく整えるとは?(ネコ編)

人間もペットも、健康に長生きするための一因として腸内フローラ(腸内細菌叢)を整える事を挙げることができます。この事は、「病気を未然に防ぐ?腸内フローラとペットの健康管理」でざっくりと説明した通りとても重要で、腸内フローラのバランスは、動物の種類や居住環境、食事環境等の様々要因の他、年齢によっても変化します。

そんな腸内フローラですが、2017年8月にプレスリリースされた東京大学大学院農学生命科学研究科のプレスリリースに、猫の腸内フローラの優勢菌は、人間や犬とは違う傾向にあるという事が発表されています。その内容としては、人や犬では、いわゆる善玉菌として知られているビフィズス菌や、乳酸桿菌が優勢菌とされているのに対し、猫は、腸球菌が優勢菌とされているといものです。

善玉菌が優勢菌じゃない?

腸球菌は、乳酸菌の仲間として知られていますが、人間にとっては、善玉菌ではなく、いわゆる日和見菌としての働きを担う菌です。具体的には、人間の場合、元気で免疫力の高い人には悪影響を及ぼす事が無い一方で、免疫力が低下している状態では、感染症などの要因にもなると言われています。

優勢菌を増やす事が腸内フローラの改善なのか?

さらに腸球菌は、尿路感染や、腎盂腎炎(じんうじんえん)の要因の1つとも言われています。なお、腸球菌の菌種の中には、免疫力を高める役割を担うものもあるとされています。

猫は、加齢と共に優勢菌である腸球菌が低下し、人間や犬の腸内フローラでも悪玉菌として知られているクロストリジウム属の増加が見られる傾向があるとされています。このため、研究では、優勢菌である腸球菌を増やす事により、猫の健康を向上させることができるのではないか?とされています。

しかし、腸球菌が人間の腸内で及ぼす影響を考えた場合、一概にこれを増やす事が良いともいえないのではないでしょうか?例えば、猫はお腹が弱い子も多く、加齢に伴い泌尿器系の病気にかかるリスクも高まるという事実があります。

そうした場合、
お腹が弱い”→腸球菌の過多によるもの
泌尿器系の病気にかかりやすい”悪玉菌の作用により、腸球菌の日和見作用による影響
というような仮説も立てられるのではないでしょうか?

このため、猫にとって腸球菌が優勢菌であるからといって、一概に善玉菌であるとして、これを増やすという事は、上記のリスクを増やす事にもなりかねないのではないでしょうか?

どうすれば良いの?

現状では、一概にどうすれば良いという事は言えませんが、実状として、加齢と共に腸球菌の他、善玉菌の数が低下し、悪玉菌の増殖が目立つようになるのですから、悪影響の無いことが知られている菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えるというのが最も良い策なのではないかと考えます。

つまり、猫の腸内では若いうちから優勢菌ではないとされているビフィズス菌や乳酸桿菌の摂取割合を増やしてやり、悪玉菌の繁殖を抑制するという方法です。これにより悪玉菌の影響が減れば、腸球菌が悪影響側に働き、尿路感染や腎盂腎炎等の日和見感染の要因になる事も少なくなるのではないでしょうか。
いずれにせよ、より具体的な腸内フローラの改善策についての研究が進む事を期待したいと思います。