爬虫類の命を伸ばすための最善の方法

トカゲや亀、蛇などの爬虫類は、殆ど鳴かず、飼育スペースも手ごろなものが多いという理由から、アパートやマンションなどでも飼育を始めやすいペットと言われています。しかし、飼育し始めると奥が深く、長生きさせるのにはそれなりの知識と経験が必要だという事に気付きます。そして、飼育がうまく行っている時は非常に飼いやすいのに、一端トラブルがあると調子を戻す事が難しい・・・というのも爬虫類飼育の課題の1つだと思います。

健康診断のススメ

ペットショップで販売されている爬虫類は、外国を原産国とするものが多く、現地採取されたものや、ブリーダーなどからの供給を受けているものなど、様々なパターンがあります。通常、ショップへの導入直後はトリートメントなどが行われ、ショップ環境に慣れてから販売に至るという流れですが、それでも販売時に痩せていたり、元気が無かったりという個体もいるというのが実状です。こうした傾向は、導入数が比較的多いポピュラーな品種ほど多いような気がします。

このため、ショップから迎え入れた直後の個体は、基本的に何かしら具合が悪いところを持っているという考えで接してあげた方が良く、迎え入れ段階で、どのような不具合を持ち合わせているのか?という事を把握してあげるのが、爬虫類を長く元気に飼育するためのポイントの1つであると考えます。

個体の不具合というのは、例えば健康診断などを受ける事により把握することができます。爬虫類の健康診断なんてあるの?と思うかもしれませんが、近年では、爬虫類の健康診断を行ってくれる動物病院もあるんです。健康診断の項目は、動物病院によって変わってくるかもしれませんが、基本的には、他の動物と同様に、以下の項目を挙げることができます。

身体検査:触診により、肉付きや怪我の有無、四肢、指先などの欠損の有無などを調べることができます。
レントゲン検査: 骨折の有無や骨格異常の有無の他、肺炎や、卵詰まり、異物の誤飲の有無などを調べることができます。
検便:下痢などの有無の他、寄生虫の存在を調べることができます。
血液検査:血液成分の参考値と検査値を比較することで、増減に伴う疾患の可能性を知る事ができます。

身体検査は、同様な種類の個体を複数飼育しているなど、経験が豊富であれば観察できる範囲もありますが、初めての経験では、その個体の体型が正常であるのか、異常であるのかという事を見分ける事は難しく、専門家に判断してもらうのが安心です。爬虫類は、意外と肺炎による食欲低下も多いです。このため、初期段階において呼吸器系に異常が無いかどうかを調べておく事も非常に重要だと考えます。
また、虫類を摂取する爬虫類は特に、寄生虫に犯されている事が多いです。健康な状態では殆ど影響が無いものが多いのですが、下痢などの原因となったり、体調を崩した際に、大きな影響を及ぼしたりする要因となる可能性もあります。服用薬により虫下しができるため、検便の検査は、しておいた方が良いでしょう。また、血液検査は、病院によって、検査可能な種類が異なるので、事前に対応可能かどうかを確認しておく事が重要です。

このように、爬虫類にとっても健康診断は非常に重要です。しかし、ペットショップで販売されている個体は、非常に小さな幼体も多く、こうした幼体の方が値段も安価で購入しやすいという事実があります。しかし、幼体のように小さすぎる個体は体力も無く、体調を崩しやすいというリスクを合わせ持っています。また、非常に小さな個体は、健康診断を受ける事もできないため、迎え入れる際には、体力のある大き目の個体を選ぶ事も重要です。

動物病院を見つけておこう!

このように、爬虫類も、他の動物と同様に、元気で長生きさせるためには、迎え入れ後の健康状態をチェックする事が重要です。しかし、一般的には、犬、猫専門という動物病院で、爬虫類を診てもらえない場所も多いです。

また、爬虫類は、高温多湿という飼育環境の影響からか、体調が下がり気味になる皮膚炎などの急性の病気にかかる事も多く、健康診断において異常が無かったからといって安心できるわけではありません。

このため、爬虫類の飼育をする際には、迎え入れ前に、爬虫類(特に自分が飼育を始めようと考えている種類のもの)を診る事ができる動物病院を見つけておく事が最も重要です。自分が飼育を始めようとする種類の爬虫類を診てくれる動物病院であれば、事前に、あるいは何かあった際、その症状に応じた対応、アドバイスを的確に行ってくれるからです。よって、爬虫類を長生きさせるための最善の方法の1つは間違いなく、自分の飼育する爬虫類を診てもらえる獣医さんを見つけておく事だと考えます。