愛犬の目と耳をチェックしよう!

愛犬の病気や状態を把握する顔周りの様子というのは普段から目につきやすい箇所ですよね。そうした目に付きやすい箇所の異常でも、場合によっては重大な病気や障害の兆しだったりすることもあります。いつも良く見る愛犬の顔、いつもと違うところにはいち早く気付いてあげてください。
女性は比較的些細な変化に気付く人が多いように思えますが、男性は意外と身近なところの変化に疎い人が多いように思いますので、特に気をつけてください。奥さんや、彼女の髪形の変化に気付くよりも気付きやすいはずです。

目のチェック

人間もそうですが、相手を観察する際に“目”というのは印象に残るパーツの1つですよね。その目は、愛犬にとって様々な異常を知らせるシグナルでもあります。目に変化が現れるポピュラーな異常だけでも、結膜炎、さかさまつげ、角膜炎、角膜潰瘍、チェリーアイ、眼瞼炎(がんけんえん)、腫瘍、白内障、緑内障、水晶体脱臼、糖尿病などを挙げることができます。いずれも、早期発見、早期治療が大切です。

目やにが出ている

目やににもいくつかパターンがあります。例えば、白っぽい目やには、ゴミやほこりなどを原因としたものが殆どで、あまり心配する必要はありません。一方で、粘性のある黄色い目やにが出ている場合には、目に異常を来たしていると考え、早期に動物病院に連れていってあげるようにしましょう。

黄色い目やにの原因は、結膜炎や角膜炎の悪化と考えられます。結膜炎や角膜炎となる原因は様々ですが、例えばゴミや、さかさまつげ(犬にもあるんです!)が気になり、前足などで目を擦ることにより引き起こされる場合もあります。初期症状としては、灰白色の粘りのある目やにが出始めます。それが悪化すると黄色く粘性の強い目やにが出るようになります。放っておいてさらに悪化してしまうと、目が開けられなくなってしまう恐れもあります。

目の色がおかしい

目やには、分泌物ですが、目や目に異常を来たす病気というのは、目そのものにも変化を生じさせます。例えば目全体に膜がかかったように白くにごっている場合には、角膜炎の疑いがあります。また、結膜(白目の部分)が赤くなっているような場合には、結膜炎が疑われます。さらに、水晶体(瞳孔の部分)が白くなっていたら、白内障の疑いがあります。

こうした症状の原因は様々で、老化や糖尿病に起因する場合の他、外傷によるものなどがあり、老犬だけでなく、若い子に症状が現れる場合もあります。

また、糖尿病のように、他の病気を原因として目に現れる症状として、“黄疸”があります。黄疸は、白目の部分が黄色く濁る症状で、胆のうや肝臓、腎臓などの疾患に起因して見られる症状です。

痒がる、痛がる

目やにや、目の色の症状の前触れ、あるいは同時に、目を痒がる、あるいは痛がるといったそぶりを見せることがあります。目を前足で掻いたり、擦りつけたりする事が多くなるので、目の周りの毛が薄くなったり、かさぶたが出来たりします。いつもと違う行動をとっていたら特に気にかけてあげましょう。

目を掻いたり擦りつけたりして“痒み”を訴える場合には、結膜炎の疑いがあります。

目をしょぼしょぼさせたり、涙を流すなど、痛がるようなしぐさをしている場合には、角膜炎やぶどう膜炎、緑内障などの疑いがあります。

また、痒がる、痛がるといった症状は、様々なアレルギーなどに起因する場合もあります。

よく涙を流す

涙を流す原因として、目の周りの毛などが目に当たったり、ほこりやゴミが目に入ったなど、直接的な刺激で涙の量が多くなる流涙症の他、病気などによる痛みに起因したものがあります。愛犬自体も辛いでしょうが、涙を流している愛犬を見ている飼い主さんも辛いので、早急に動物病院に連れて行ってあげてください。

目にかかる毛などがある場合には、切ってあげるようにしましょう。部分的なカットなので、手元にあるハサミなどを利用しても良いですが、部分カットバリカンなどがあると、足裏の毛のカットなどにも使えるので便利です。


耳のチェック

耳は顔の一部ですが、目や鼻、口に比べて注目度が低いパーツです。それだけに、見落とされがちな変化も多いので、飼い主さんはできるだけ、チェックの機会を増やしてあげるようにしてください。

耳を掻いたり、首を振る

耳を掻いたり、首を振って耳を振るわせる行為を頻繁に行う場合、耳の内外に何等かの違和感を感じているということです。一般的に多い耳の病気として、アレルギー性外耳炎や、耳垢性外耳炎(じこうせいがいじえん)(脂漏性外耳炎(しろうせいがいじえん)ともいう)などの外耳炎があります。病気の特徴として、“痒がる”という行為の他に、耳から悪臭がするということがあります。愛犬を引き寄せた際、“何か臭うな”と感じたら、耳の臭いも嗅いでみてあげてください。初期症状は比較的軽いですが、中耳炎や内耳炎にまで進行すると傷みを伴うようになります。

また、耳を痒がったり、違和感を感じたりする要因として、ダニによる耳疥癬(みみかいせん)や、耳垢腺癌(じこうせんがん)などの腫瘍が出来ている場合もあります。その他、虫や異物が耳に入ってしまったという場合もあります。虫などの場合には、耳の入り口を懐中電灯などで照らしてやると出てくる場合もあります。愛犬が嫌がらない場合には、試してみるのも良いでしょう。

耳が腫れる

目と同様耳にも、見た目の症状が現れる場合があります。それが、腫れです。腫れと同時に熱や痛みを伴います。主な原因としては、痒みなどに起因して首を振った際、何かに耳を強くぶつけた事によるものがあります。

耳の皮下組織の血管が破れて出血し、皮膚と軟骨の間に血が貯まる事により腫れが生じます。

耳だれが出る、耳がくさい

耳から分泌物が垂れる耳だれは、ビーグル犬のようなタレ耳の犬種では気付き難い事もあります。耳だれが出て、悪臭がしたら、耳道に溜まった分泌物が原因で、細菌やカビなどに感染して炎症を起こしている可能性や、アレルギー性疾患の可能性があります。

いずれの症状にせよ、普段との違いが大きいようでしたら、早めに動物病院に連れていってあげるようにしてください。また、耳の病気の予防として、普段から耳を清潔にしておくことを心がけてあげてください。1週間から10日に1回程度、絞ったぬれタオルなどで耳の内側入口あたりまでを優しく拭いてあげるのが良いでしょう。耳の奥の掃除は、獣医師に任せるようにした方が良いでしょう。
耳掃除をするにあたり、洗浄液を使用する場合、「エーピーディーシークリア」のように、アルコールを含まない低刺激性のものをお勧めします。スプレータイプのものを選ばれた場合には、直接吹きかけるのでは無く、コットンなどにスプレーを吹きかけた上で優しく拭いてあげるのが良いでしょう。