ペットの活力を引き出す空気づくり
飼い主にとってペットは、なくてはならない大切な存在であるし、ペットにとっても飼い主は、自分が生きて行くために欠かせない存在ですよね。このように、ペットと飼い主(人間)というのは常日頃からお互いの存在を意識し、互いに大切な存在であると認めているから思いやりが生まれてくるのだと思います。
一方で、ペットも人間も普段は意識しなくても、生活する上で無くてはならない存在というのが、空気ではないでしょうか?摂取しているという認識のある水や食物というのは、“体に良いもの、健康的なもの”という事を意識があるのですが、普段の生活で取り込んでいるという意識をあまり持たない空気というのは、生活習慣の中で軽視されがちな面があります。
しかし考えてみてください。今、自分の周りに存在する空気って、水や食物以上に日常的に体に取り込んでいるし、体に触れているんです。このため、空気環境というのは、ペットだけでなく人間に関しても健康維持のために重要な役割を担う存在だと思いませんか?今回は、そうした空気環境をどのようにすれば、ペットの健康を維持することができるのか?ペットの活力を引き出すための空気づくりについて説明します。
まずは温度と湿度
爬虫類などの変温動物をペットとして飼育されている方は、ペットにとって温度と湿度の重要性を良く理解されているかと思います。また、近年では、犬や猫などの恒温動物を飼育されている方でも、ペットに対する温度環境を意識する方が増えてきていますね。全身が長い体毛に覆われている上に、放熱を促す発汗のための汗腺(エックリン汗腺)が少ない犬や猫は、暑さに弱いですからね。
特に近年では、住宅環境などの関係から、猫に限らず犬も、室内飼育が増えているため、飼い主による温度管理が重要になってきています。昨今の夏場は、閉め切った室内温度は50度以上に達する事も珍しくないですから、温度管理を怠ると大切なペットの命にかかわります。
一方で、犬や猫などを飼育している方から意外と見落とされがちなのが湿度環境です。そんなに重要なの?と思われるかもしれませんが、実はとても重要なんです!
例えば、湿度が低すぎる場合(例えば20%~30%以下)には、インフルエンザなどのウィルス性の病原体の生存率、繁殖率が向上します。また、皮膚や粘膜の水分が不足し、痛みを覚える事もあると言われています。
一方、湿度が高すぎる場合(例えば70%以上)には、ダニや菌類の繁殖率が高まります。また、高い湿度はベタ付き感などの不快感を高めますし、食物などの痛みも早くなってしまいがちです。
このように、温湿度が人間やペットの快適環境から大きく外れると、皮膚病やアレルギー、体調不良などを生じさせる要因となることがあります。
では、どのような温度、湿度が快適なのかと言いますと、犬と猫を例に挙げると、概ね次のような温度環境、湿度環境が快適な環境であると言われています。
犬・・・22℃程度 湿度40%~60%
猫・・・22℃~29℃程度 湿度50%~60%
猫の温度環境は割と幅広いですが、犬が快適に感じるとされる温度環境は、夏場などでは人間にとっては少し寒いと感じる環境かもしれませんね。温度に関しては、室内ではエアコンに頼らざるを得ないかもしれませんが、湿度に関しては、加湿器、除湿器に限らず、濡れタオルや観葉植物、珪藻土などを利用して、調整してみても良いかもしれません。
綺麗な空気と汚い空気
飼育水が汚れると水生生物が病気になったり、体調を崩したり、あるいは死んでしまったりするように、人間やペットにとっても、常に体内に取り入れている空気の鮮度は重要です。
「綺麗な空気と汚い空気、どちらが好きですか?」
と、聞かれて、
「汚い空気!」
と答える方はいませんよね?そういった感覚と同様に、人間もペットも、綺麗な空気の環境で過ごす方が、健康で長生きできるのです。
「でも、うちには空気清浄機なんて無いし、買うのは勿体ない!」
と思った方、大丈夫です!
“綺麗な空気”と言っても、チリ1つないクリーンルームみたいな空気づくりをする必要は無く、室内の“空気をよどませず、チリや誇りを溜め込まない”という事が大事なんです。
室内の空気がよどむと、菌やウィルスも溜まり易くなります。また、床にチリや誇りが溜まると、ペットが誤って吸い込んだり、舐めてしまったりする事があります。また、毛足の長いペットですと、毛に絡みつき、不潔になり、皮膚病などの要因にもなります。
では何をすれば良いのか?というと、基本は、換気と掃除です。部屋を閉め切らず、一日に1回程度は窓を開けて空気を入れ替えるようにすることで、湿度管理も容易になります。また、拭き掃除や掃き掃除をすることで、床などに付着した花粉なども除去することができます。
エアコンで室温管理を行う場合、エアコンの吸い込み口に花粉フィルターを装着するだけで、花粉対策にもなります。空気の入れ替えによる室内への花粉の流入が心配な方は、試してみてください。
NASAも認める観葉植物18選
上でも触れましたが、観葉植物には、湿度環境を向上させる役割がある事は良くしられていますね。そうした観葉植物については近年、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究チームから、空気清浄機能についても優秀であるとのレポートが上がっています。
具体的には、シックハウス症候群などの要因と言われるトリクロロエチレンやホルムアルデヒド、有害物質と言われるベンゼンやキシレン、及びアンモニア等を吸収して空気を綺麗にしてくれる機能があるのだそうです。アンモニア等も吸収してくれるのなら、ペットのニオイ対策にも使えるかもしれませんね!そんな空気清浄機能が特に優れているとしてNASAから発表されたのが、以下の植物です。
・ナツメヤシ
・タマシダ(ボストン・ファーン)
・タマシダ(キンバリー・クイーン)
・オリズルラン(スパイダー・プラント)
・アグラオネマ(チャイニーズ・エバーグリーン)
・バンブーパーム
・ベンジャミン
・ポトス
・アンスリウム(フラミンゴ・リリー)
・ヤブラン
・シュロチク(カンノンチク)
・デイジー
・ドラセナ(マッサンゲアナ)
・イングリッシュアイビー
・サンセベリア
・ドラセナ(コンシンネ)
・スパティフィラム
・キク
いずれも、観葉植物等として街の花屋さんやホームセンターなどで手に入れる事ができる植物ですね。特にポトスやドラセナなどは、手がかからず、育て易い植物ではないかと思います。ペットのイタズラに気をつけつつ、空気環境の向上を狙って、観葉植物を置いてみるのも手軽な対策の1つだと思います。