2年ぶりの“大”仕事、ダイオウグソクムシの排便(鳥羽水族館)

写真提供:鳥羽水族館

ダイオウグソクムシは超便秘体質?

糞に含まれていた魚のウロコ?(写真提供:鳥羽水族館)

5月18日より営業を再開した三重県の鳥羽水族館ですが、同月12日に、大人気のダイオウグソクムシが排便をしていた事を確認したそうです。

あまり関心の無い方からすれば、

「ダンゴムシの仲間が“うんち”をしたからってどうって事ないでしょ?」

と思うかもしれません。

しかし、飼育環境下にあるダイオウグソクムシにとっては、大きなニュースなのです。

なぜならこの排便、

同水族館では2年ぶり、8回目の排便だったからです。

2年以上の便秘・・・恐ろしいほどの”大”仕事ですね。

どれだけ溜め込んでるのか?と思うかもしれませんが、実際は、食べる量も少なく、代謝も遅いので、それほど溜め込んでいたわけでは無いのかもしれません。

つまり、便秘体質というより、それが、普通の排便ペースなのかもしれません。

意外と大きな未消化物も・・・

糞に含まれていた魚の骨のようなもの(写真提供:鳥羽水族館)

排泄物の中から確認された未消化物には魚の骨やウロコ、カイメンのようなもの、紙などが含まれていたそうですが、いずれも水族館で与えた餌とは関係無いものばかりなのだそう。一番新しく仲間入りした個体ですら、半年以上前だそうなので、少なくともそれ以前に食べたものになるようなので、いったいいつ、どこで食べたものなのか気になるところですね。

ところで、排泄物の中には、長さが3.5cmほどもある骨?のようなものも、未消化物として含まれていたそうです。ダイオウグソクムシのサイズからして、排泄物に含まれる未消化物としては、いささか大きすぎると思われるこの物体、いったいどのように食べ、どのようにして排せつされたのかというところも不思議なようです。

この点について、“仲間”とされるダンゴムシを例に挙げて比較すると、ダンゴムシの体長は約1.5cmほどであるのに対し、その糞の大きさは、2mmほどにもなる事があります。実に、体長の1割以上の大きさの糞という事になるのです。

コレに対し、ダイオウグソクムシの大きさは、約20cm~約40cm程度が平均的と言われています。そうしてみると、ダンゴムシの仲間としては、普通に排便できるサイズの糞だったのかもしれませんね。

希少なバクテリアを保菌している可能性も?

糞に含まれていた甲殻類(写真提供:鳥羽水族館)

また、ダンゴムシの糞には、防カビ作用を伴うバクテリアが混在されているそうです。特に強力な防カビ作用を担うバクテリアとして、ブレビバクテリウム属の細菌というものが含まれているそうです。糞にこうしたバクテリアが混在されるという事は、体内にバクテリアを保菌しており、こうしたバクテリアの作用で、食物を分解しているのかもしれませんね。

ところで、上に挙げたブレビバクテリウム属の細菌、実はインド洋の深海だけで見つかっていた種類だったのです。

・・・深海・・・

そう!

深海といえば、ダイオウグソクムシも深海に生息している生物です。

しかも、現在知られているダイオウグソクムシの生息域として、インド洋深海も含まれているのです。

これは単なる推測や憶測に過ぎませんが、ダイオウグソクムシの体内にも、ダンゴムシと同じようなブレビバクテリウム属の細菌が保菌されているのではないでしょうか?

そして、ダイオウグソクムシが食べた食物の分解を助けているのかもしれません。

さらに、そうした細菌を含む糞が排泄される事により、インド洋の深海でブレビバクテリウム属の細菌が確認されていたのかもしれません。

こうした繋がりがあったとしたら、なんだかロマンがありますよね。

そしてもしかしたら、鳥羽水族館のダイオウグソクムシ水槽の水を調べると、インド洋の深海でしか見つかっていなかったブレビバクテリウム属の細菌が発見されるかもしれません

体内でエネルギーを生成しているかも?

上の推測論では、ダイオウグソクムシは体内に細菌類を保菌しており、糞にもそうした細菌が付着しているかもしれない・・・
という事に留めましたが、近年では、微生物やバクテリアの分解作用を利用して”エネルギー”となる物質を作り出すという事も研究されています。
仮に、ダイオウグソクムシが体内に取り入れた食物を燃料としてバクテリアなどを活性化させ、体内で利用するエネルギーを効率良く再生させているのだとしたら、ダイオウグソクムシが数年もの間絶食でも生きている事ができるという仕組みの解明にもつながるのではないでしょうか?

そしてもし本当に、ダイオウグソクムシが少ない燃料から効率良くエネルギーを作り出しているのだとしたら、その体内メカニズムは今後の省エネ社会に大いに役立つものになるのではないでしょうか?

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